こんにちは。のりまき、です。
今回のテーマはずばり、「日本語教師になるには、どんな資格が必要か」について。
今まで”日本語教師”という職業があること自体知らなかった方。存在は知っていたけど、もっと詳しく知りたいといった方に、資格の有無から日本語教師になるまでを解説していきます。
でさっそく結論ですが、
「資格」とくに必要なし。
資格なくてもなれます。もちろん、教え方などの勉強は必要です。
ただ、これには前提条件があります。
何かというと、教える相手・学習者(機関)が限定されるということ。
具体的には、自治体やボランティア団体が主催する日本語教室に通う日本在住の外国人、または公立の小中学校などに通う外国人の子供たちなど。場合によっては、ご自身のビジネス上のつながりから、教えるといったこともあります。
それから、海外で教えるということもありですね。(←コネか相当な行動力が必要。)
つまり、日本国内で「日本語教師」の「資格なし」で教えようと思った場合は、日本語を外国人に対して教えるスキル、知識があり、かつ上記の学習者が対象なら特に資格を求められることはありません。ただ、海外で教えるなら最低限、大学は出ておいた方が無難でしょう。
あなたが、そういった日本語教師をイメージされているのだとしたら、本記事は以上です。
おわり!
というわけには、もちろんいかないでしょう。
なぜって先ほどの前提条件がネックになるからです。どの学習者(機関)に対しても、有償で日本語を教えられるようになるためには、やはり「資格」はあった方が良いということになります。
つまり。プロとして教えていきたければ
「資格」は必要‼
となります。
0、日本語業界における学習者って、どこの・どんな外国人⁉
そもそも日本語教育を必要とする外国人とはどんな人たちなのか。
これはまず大きく4つに分けられます。
- 日系ブラジル人や中国帰国者(中国残留邦人)、日本人の配偶者など日本国内各地域に住んでいる外国人、及びその子どもたち
- 日本の大学(大学院)や専門学校への進学を目指す、または在籍している留学生
- ビジネスパーソン
- 技能実習生
続いて、①~④の外国人がどんなところで、日本語を学んでいるのかという点を確認しておきます。
こちらは、文化庁が毎年実施している日本語教育実態調査(H30.7.30)から見てみましょう。
- 大学等機関=大学、専門学校 24.5%
- 法務省告示機関=日本語学校 22.1%
- 国際交流協会 20.4%
- 教育委員会=小中学校 10.1%
- 任意団体 9.8%
- その他 13.3%
つまり、日本国内で日本語を学んでいる約半数の外国人が、大学を始めとした教育機関で学ぶ「留学生」であることが分かります。
またそうした機関で日本語を教えるとなれば、当然無給であることはありませんので、プロとして教えるということになります。
1、日本語教師になるために必要な資格はこれだ!
日本語教師になるために必要な資格は下記3つ。
3つともすべて揃っていなくてはならないということではありません。というか、3つとも満たしている人って、実際お会いしたことないです(^^;
- 日本語教師養成講座修了【通称:420時間】
- 日本語教育能力検定合格
- 大学・大学院で日本語教育主専攻または副専攻
上記のうち、あなた自身が大卒・院卒(日本語教育以外)なら検定合格か、養成講座修了かのどちらかがあればOKです。もし日本語教育主(副)専攻なら、卒業と同時に教壇に立てます。
ポイントは大学を出ているかどうか、です。4年制の。短大ではダメなんです。
つまり短卒、高卒、専門卒の場合、養成講座を出たとしても今では資格としてみなされません。
補足です!
今ではと言ったのは以前、1988年に日本語教育能力検定が始まった当時から、ざっと30年間は、高卒者でも日本語学校や専門学校などで教授経験が2年以上あれば、それをもって有資格者として認められた時代があったわけです。なんと良い時代。
この資格に関して、日本語学校にとっての法律ともいうべき出入国在留管理庁が作成した「日本語教育機関の告示基準」では、どう記載されているのか確認しておきましょう。
十三 全ての教員が、次のいずれかに該当するものであること。
イ 大学(短期大学を除く。以下この号において同じ。)又は大学院において日本語教育に関する教育課程を履修して所定の単位を修得し、かつ、当該大学を卒業し又は当該大学院の課程を修了した者
👉大学(院)主専攻
ロ 大学又は大学院において日本語教育に関する科目の単位を26単位以上修得し、かつ、当該大学を卒業し又は当該大学院の課程を修了した者
👉大学(院)副専攻
ハ 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験に合格した者
👉日本語教育能力検定
ニ 学士の学位を有し、かつ、日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し、これを修了した者
👉養成講座
ホ その他イからニまでに掲げる者と同等以上の能力があると認められる者
引用:出入国在留管理庁 平成28年7月22日策定,令和元年8月1日一部改訂
その1、日本語教師養成講座修了(通称:420時間)
それでは、ここからそれぞれの資格について、詳しく解説していこうと思います。
まずは日本語教師養成講座修了(420時間)から。業界では「養成講座」または「420時間」のどちらかで呼ばれることが多い資格です。
日本語教師養成講座は、0から日本語教育に関する知識を学び、実習を通じて即戦力の教師を育成するところ、です。
それで通称の420時間というのは、文化庁が定めた教育内容の単位が420時間だということです。
日本語学校の中身について、取り決めている機関が文化庁です。知識として重要かもです。
では、さっそく結論から。
あなたがどういう属性であれ、日本語教師になりたければ、養成講座修了は必須です。
実際の現場レベルで見ていると、「大卒(日本語教育以外)」+「養成講座」という先生が圧倒的に多いです。いったん社会に出て働き始めてから日本語教師という仕事を知り、興味を持ったというケース。
大卒 ⇒ 一般企業に就職 ⇒ 養成講座(人によっては+検定取得) ⇒ 日本語学校
もはや、日本語教師の王道といっても良いかもしれません。かく言う私自身もそうです。
で、養成講座修了が必須だと思う理由を5つ挙げてみました。
①初学者でも、0から体系的に日本語教育を学べる。
👉現役日本語教師の約8割が日本語教育とは直接関わりのない専攻だったりします。
②即戦力として鍛えられる。大学の主(副)専攻は、ここが弱点。
👉とにかくこれに尽きます。半年間で教壇に立てるレベルにするわけですから、当然ですね。
③就職に有利。(国内or海外)
👉特に国内の日本語学校を考えている方だったら、これ以外の選択はないでしょう。
④共通の目的意識を持った仲間に出会える。
👉検定合格も、就職も全てはこのつながりのおかげでした。
⑤確実に資格取得できる。
👉仮にあなたが大卒だったら、50万円強の受講費。また約半年の勉強期間。
この2つを投資すれば、確実に資格は手に入ります。
今度は逆に養成講座受講に際して注意すべき点があるのかということについて、お話しします。
まず上記にも挙げたように50万円強の受講費、半年~1年の通学が必要になることです。
受講費に関しては、「教育訓練給付金」の対象になりますので、多少は安く受講出来ますが、ある程度まとまった金額であることは間違いありません。
また社会人の方なら時間の捻出も大変です。通信講座という選択もありますが、結局のところ420時間というカリキュラムをこなすためには、半年以上の時間はかかります。
もう一つは、養成講座によって指導方法に特色・違いがあるということです。
その学校のメソッド(〇〇式・〇〇法)が独自性の強い学校だった場合、そうでない学校で教えたときにその指導(教授方法)の違いに戸惑うことがあります。もっとも、そういった学校は養成講座を修了した際には自社採用するケースが多いです。
以上が、養成講座受講における主な注意点です。
注意点とは言いましたが、資格取得にはある程度初期投資はつきものですよね。
それに、留学生はもっと高い学費を払って日本語学校に入学して来るわけです。
ただ、養成講座選びに関しては色々回って最終的には、合う合わないで決めて良いのではないでしょうか。
私自身が養成講座を決めた理由は、たった一つ通いやすかったからです(^^;
その2、日本語教育能力検定合格(通称:検定)
日本語教師になるために必要な資格、続いては日本語教育能力検定合格です。
では、まず概要から。
出願期間については、今年2020年は新型コロナの影響があり、1か月ほど出願の開始時期が大幅に遅れ7月20日~となっています。
主催団体 | 公益財団法人日本国際教育支援協会 |
出願期間 | 6月下旬~8月上旬 ※2020年は7月20日~8月3日 |
試験日 | 10月の第3または第4週 ※2020年は10月25日(9:00~16:40) |
合格発表 | 12月中旬 ※12月25日結果発送 |
受験料 | 10,800円(税込み) |
続いて試験の構成を見てみます。(公式より抜粋)
科目 | 回答時間 | 配点 | 試験内容 |
試験Ⅰ | 90分 | 100点 | 原則として,出題範囲の区分ごとの設問により,日本語教育の実践に つながる基礎的な知識を測定する。 |
試験Ⅱ | 30分 | 40点 | 試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基 礎的な問題解決能力」について,音声を媒体とした出題形式で測定 する。 |
試験Ⅲ | 120分 | 100点 | 原則として出題範囲の区分横断的な設問により,熟練した日本語教 員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定 する。 |
続いて、合格率過去10年分を公式が全科目発表している受験者数と合格者数から出してみました。
試験年度 | 全科目受験者 | 合格者 | 合格率 |
令和元年 2019年 | 9,380 | 2,659 | 28.3% |
平成30年 2018年 | 6,801 | 1,937 | 28.4% |
平成29年 2017年 | 5,733 | 1,463 | 25.5% |
平成28年 2016年 | 4,907 | 1,231 | 25.0% |
平成27年 2015年 | 4,727 | 1,086 | 22.9% |
平成26年 2014年 | 4,362 | 1,027 | 23.5% |
平成25年 2013年 | 4,374 | 1,001 | 22.8% |
平成24年 2012年 | 4,798 | 1,109 | 23.1% |
平成23年 2011年 | 5,732 | 1,527 | 26.6% |
平成22年 2010年 | 5,584 | 1,197 | 21.4% |
ざっと概要から合格率まで出してみました。いかがでしょうか。
補足しておくと、まず試験時間は試験Ⅰが午前中、お昼を挟んで午後から試験Ⅱ、試験Ⅲへと進みます。そして、最後にある試験Ⅲの「現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定」とは、記述試験のことです。大体400字程度だと思ってください。
試験の締めくくりに「記述試験」。まぁ、大変です。満点は240点。合格点は公表されていませんが、70%つまり168点程度はみておいた方が良いでしょう。
私自身、養成講座受講中はよく言われました。「最低でも165点はクリアしよう。」と。
合格率は、毎年大体20%強といったところです。
が、
よく見てみると年々増加傾向にあることがお分かりでしょうか。直近ではあともう少しで30%というところまで来ています。
ちなみに2005年以前は20%を切っています。
この背景として、留学生数の増加(留学生30万人計画)による日本語教師の不足ということが考えられます。
つまり
検定に合格するなら今が、チャンスなわけです。
その3、大学(院)で日本語教育主専攻または副専攻。
日本語教師になるために必要な資格、続いては大学・大学院で日本語教育主専攻または副専攻です。
2020年1月時点では、国内で日本語教師の資格取得が出来る大学は、全国で主(副)専攻併せて120校近くあります。
養成講座や検定合格にはない大学で学ぶことの最大のメリット。
- 専門性
- 権威性
の2つ。主専攻の場合、大学在籍中の4年を通じて日本語教育を学ぶわけですから、当然その専門知識の深みという点では断然でしょう。また、その先の大学院まで修了すれば、もはや無敵です。
そして大学院まで出たとなれば、日本語教師として選択の幅も一気に広がります。
国内、海外問わず場合によっては、大学で教える道だって出てくるでしょう。
なので、今せっかく大学や大学院で日本語教育を学んでいるみなさん、一度は日本語学校でその専門性を試してみませんか。
大学で日本語教育を専攻すれば、日本語教師になれるのは当たり前なので、ここでは、特に現在、社会人で日本語教師になりたいけど、資格的に高卒、専門卒だし無理かもとか、「検定」合格以外に何か日本語教師になる方法はないのかという視点で解説していこうと思います。
また、あなたが高校生だったとして、大学で日本語教育を学びストレートで、日本語教師になるということが果たしてどうなのかという点でも参考になると思います。
高卒で日本語教師になるには?
では、高卒や専門卒の方が日本語教師になるには、どうしたら良いのか。現状(2021年1月時点)では、たった一つしかありません。
そうです。
日本語教育能力検定(通称:検定)に合格することです。
個人的には、この検定、「伝家の宝刀」もしくは、水戸黄門で言うところの「印籠」のごとき力があります。
なぜなら、この検定さえ持っていればたとえ高卒であっても、たとえ養成講座を出ていなくても日本語教師としての資格は満たしていることになるからです。
恐ろしや「検定」パワー。
なので、大卒の資格がないという方は、まずはこの「検定」合格を目指しましょう。
しかも、新資格である公認日本語教師の運用が始まるまでに、です。なぜなら、公認日本語教師でも資格の取得要件に大卒であることがはっきり示されていることと、公認日本語教師と日本語教育能力検定との関係性がまだどうなるか未知数だからです。
それに、日本語教育能力検定は特にここ最近は合格率も上がって来ており、以前より確実に取得しやすくなっているので、チャンスです。
よって、まとめると
今後1、2年(公認日本語教師スタート前に)で日本語教育能力検定の合格または、学士の取得。
大卒の資格を得るには
方法としては3つ。
- 通信制大学に通う
- 大学の二部(夜間)に通う
- 大学改革支援・学位授与機構を利用する
もちろん、4つ目として「4年制大学(昼間)に通う」というのもあるのですが、ここでは省略です。
で、結論から言うと下記の通りです。
結 論
高卒でも、大学中退でも、短大卒でも、専門卒でも…
①「通信制大学に通う」の一択。
その理由を以下かんたんに解説します。
①通信制大学に通う
通信制大学と言えば、たとえば放送大学や東京通信大学などが有名ですが、全国に40校以上ありその中には、慶應や早稲田など通学生でも名の通った学校も多数あります。
所定の単位を修得すれば、通学生と同様の学位が取得できます。履修方法は、テキストを見ながらの自習(レポート提出)、それに加えオンライン学習、や最低限のスクーリングがあります。
基本的には高卒でも大学中退でも、大卒という資格取得を最優先に考えた場合、この通信制が一番現実的です。また、実際に日本語教師の資格を得るため、どうしても大卒の資格が必要という方は、この方法で無事、取得されている方が多いです。(専任・非常勤講師問わず)
通信制のメリットは下記の通りです。
- 学費の安さ。(たとえば冒頭の東京通信大学など4年間で62万円。これが通学生になると私大文系の場合、4年間で平均約400万円。)
- 自由さ。
- 働きながらでも学べる。
- 入学が用意。書類選考のみ。
これだけを見れば学位マニアが出てくる理由も分かりそうな気がします。加えて通信制を選択する上で一番重要なこと。それは。
「本人のやる気」である!!
ということです。
さらに、その「やる気」を「持続させること」これができるかどうかです。
なので、日々忙しく、また出来るだけ初期投資を抑えたいという社会人にとっては、この通信制は非常に魅力的なのです。もっといえば、現役の日本語教師でもこの制度を利用して、勉強という自己投資をすべきです。
根気強く続けて行きましょう。
ちなみに通信制大学を検討するならこちら↓
働きながら大卒資格や教員免許を取得したいあなたにオススメの通信制大学!
②大学の二部(夜間)に通う
続いて、②の「大学二部(夜間)に通う」です。
「資格取得」が必達の目標であるなら、この選択はあまりおすすめできません。
その理由は4つ。
- 高卒社会人の場合、卒業まで4年ないし5年かかる。=4年制大学と同じ。
- 学費も4年制大学の2/3程度はかかる。
- 一般的に18時の講義スタートがほとんど。めちゃくちゃ協力的な職場環境必須。
- 相当な意志力が必要。
つまり、大学の二部(夜間)というところは、勤労学生のためのもの。つまり、いずれは一部(昼間)に転籍を考えているなどの現役の学生向けだということです。事実、二部に通う学生の年齢構成で見ると、やはりそのほとんどは、20歳前後の若者がほとんどです。
もちろん、私ならやれる!という方もいるでしょうが、圧倒的にコスパが悪いことは承知しておいたほうが良いでしょう。
もっと言えば、大変な思いをして日本語教師になれたとしても、それら投資した分を回収できるのは果たして何年先になるのか。あくまで「資格」と割り切ることが大事かもしれません。
短大卒や専門卒の方であれば、編入するなどして学習期間を短縮することはできますが、それでも通学上の時間的制限は致命的です。
③大学改革支援・学位授与機構を使う
続いて③「大学改革支援・学位授与機構を使う」です。
大学改革支援・学位授与機構??
補足です!
そもそも「大学改革支援・学位授与機構」とは
大学に代わって学位の授与ができる機関。また大学を評価したり、その活動を支援したりする。
普通、学位と言えば大学しか与えることが出来ないのですが、1991年の学校教育法の改正に伴い、大学以外の機関として唯一学位の授与ができるようになりました。
こちらは、前提として制度の利用対象が下記に限られます。※ちなみに、短大卒や専門卒などの資格を機構では「基礎資格」と呼びます。
「基礎資格リスト」(第1区分)
- 2年制短期大学卒
- 高等専門学校卒
- 2年制専門学校卒
- 高校の専攻科修了(普通科の高校を卒業後、技術者育成のための専門教育を受けること。看護系や工業系に多い。※条件有
- 4年制大学の学生として2年以上在籍し、かつ62単位以上を修得した人。
- 専門職大学を2年以上通い、かつ62単位以上習得している。
- 海外の学校で、14年以上の学校教育を修了した人。
見て頂くと分かりますが、高校の普通科卒業では利用できませんし、また大学中退とは言っても、たとえば入学して半年で辞めちゃったーという人は対象にはなりません。最低でも、大学に2年以上は通っていて、かつ62単位を修得していないとダメなんです。
まぁ当たり前ですよね。2年間、真面目に勉強していた、けれども、大学を途中退学せざるを得なかったみたいな人に対してあるわけです。
短大卒を例に
たとえば、あなたが短大卒(基礎資格あり)だった場合。
短大時代の専攻に関する分野で、2年以上にかけて62単位を修得すれば、機構に対して学位授与の申請ができるようになります。
そして、晴れてその申請が通れば、機構より学位が授与されるという仕組みです。
なぜ単位の習得に2年以上をかけなければならないのかというと、学習期間もしっかり規定されているからです。気合を入れて、1年で62単位取ってやろうではダメなんです。
では、不足している単位をどう修得していくのか。
それは、科目等履修によってです。
科目等履修?? かもくとうりしゅう。
補足させていただきます!
そもそも「科目等履修(生)」とは
大学には入らないで、任意の科目を受講できる制度。一般の正規学生と同様に講義を受け、レポート提出や試験を受けることで単位習得を目指します。「聴講生」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。単位認定に違いはありますが、ほぼ同じ意味です。
科目等履修制度の学費ですが、大学によって差はありますが、1科目(2単位)を開講期間フルで通った場合、選考料も含めてトータル5万円~10万円といったところです。
また、当然ですが通常の学生と比べて、一部受講に制限があることが多いです。選考方法は、書類審査のみ、または書類審査+面接といったところがほとんどです。
余談ですが…
外国人留学生もこれによりVISAもらえます。
この科目等履修制度を使って、単位習得をしていくことで最終的に大卒の資格を手に入れられるわけです。
また、機構の規定によれば62単位すべてを新規習得しなければならないということではなく、すでに短大時代に習得済みの単位も含んだ上での数字です。
※ただし、半分の31単位は新規で習得する必要があります。もし仮に31単位をすべて科目等履修によって受講した場合、それでも80万円近くはかかることになります。
2、新資格‼公認日本語教師とはなんぞ。
ここまで日本語教師になるために必要な「資格」について解説をして来ました。
と言いつつ、実はこの資格、あと数年もすれば、国家資格へと大きく生まれ変わります。
そう。
ただ今、絶賛審議中⁉の新・資格「公認日本語教師」について、ここで少し触れておきたいと思います。
こちらは別記事で詳細、解説していますので、ここでは特に日本語学校に関して概要とポイントを確認したいと思います。
公認日本語教師創設の背景と目的
現在日本では、永住者や留学生だけでなく技能実習生、最近では特定活動など日本で働いたり、あるいは留学生として学校に通う学生など長期にわたり日本に滞在する外国人が増加しています。この流れは、今後もさらに加速していきます。
そして、そうした人々に対し、専門知識を持ち、かつ適切に指導できる(=質の高さ)教師を、育成して(=量)いかなければなりません。
また、日本語教師を必要とする企業や団体、学校にとっては国家資格とすることで教師を採用する際の判断基準が容易になります。
一方、応募者の側も、資格を所持することで自分の能力や資質を客観的に証明することが出来るようになるわけです。
たとえば、現在の「大卒+420時間」のような最も多い資格帯の場合、それだけでは、能力・資質の客観的な証明にはならないのです。
要するに。
「長期滞在の外国人増加していく中で、質の高い日本語教師を多数育成していかなければならない」
ということ。さらに資格自体を国家資格に格上げし、国のお墨付きを与えれば、日本語教師という職業自体に注目が集まるようになり、いずれはニッチではなくメジャーな職業になることは間違いない。…と切に願っているわけです。
公認日本語教師のポイント
公認日本語教師は、イメージとしてこれまでの資格(今現在の資格)をベースにプラスα要求されるものだと考えておけば良いでしょう。
現状の資格おさらい
- 日本語教師養成講座修了【通称:420時間】
- (日本語教育能力検定合格)
- 大学・大学院で日本語教育主専攻または副専攻
上記に加え、さらに資格取得の要件として下記3つが課されます。
- 追加要件
- 日本語教育能力を判定する新試験に合格すること。※日本語教育能力検定とは別物。
- 教育実習の履修及び修了
- 学士以上の学位
つまり、この公認日本語教師という新資格は大学や養成講座などで日本語教育を学んでいる人にとっての、修了段階で受けられる資質・能力の判定試験と言えます。
そして、この3要件を満たすことで、晴れて公認日本語教師として名乗ることが出来るわけです。
しかも国家資格w
一方で、今ある日本語教育能力検定の扱いについては、あくまで経過措置(新資格への移行期間)の間は有効ですが、経過措置が終わった後にはどうなるか明示されていません。
恐らく新試験に統合されていくのではないかと思います。
さらに公認日本語教師になることで、より「学士」の重要性が増したということです。
3、日本語教師に関する資格【まとめ】
本記事では、日本語教師になるために必要な資格とは何かという基本から、日本語教師におけるキャリアパス、特に学歴について解説して来ました。
キーワードは「日本語教育能力検定」、「高卒」、「公認日本語教師」、「養成講座」、「学士」
たとえば現在、日本語教師を志している方で「大卒」+「養成講座(420時間)」という方は、すでに資格としては満たしています。なので、どこの日本語学校でも教えられるわけですが、できれば今のうちに日本語教育能力検定は取得されることをおすすめします。
理由として…
- 人事・採用面で評価される。(待遇面で優遇されることが多い)
- 自信が持てる。(検定の合格率は毎年20%強。なかなかに難しい試験です)
- 専門知識が身に付く。
- 今なら合格率も高め。
資格という点でみれば、本来なくても良いはずなのに、それでも取りに行く。という姿勢は単純に好感が持てますよね。
2020年度の出願期間は8月3日で終わってしまったので、来年チャレンジしてみてはいかかでしょうか。決して無駄にはなりませんから。
最後に、日本で働く外国人材をサポートするため作られた新しい「資格」をご紹介します。こちらは現役の教師の皆様におすすめします。
その名も「異文化カウンセラー認定講座」です。
学生指導に悩んでいる方には、朗報になるかもしれません。解説記事を以下に載せておきますので、興味のある方はどうぞ。