終息宣言?収束宣言? 使い分けの混乱をシュウソクに導きます。

 

どうも、こんにちは。のりまき、です。

世界的には感染の衰えが一向に見られない、新型ウィルス。

あとどのくらい我慢すれば、以前のように自由に色んな場所に出かけたり、「密」に人と接することができるようになるのでしょうか。そしてなにより、いつになればフェイスシールドなんてせずに授業ができるようになるのでしょうか。

暑(息)苦しいことこの上なく、熱中症の一歩手前で日々奮闘している我々日本語教師。

新型ウィルスの早期シュウソクを心から願う今日このごろ…です。

…ん?

シュウソク…。

…収束?

…終息?

どっち…。だっけ。ちょっと不確か。

という方、意外に多いのでは⁉

というわけで授業で留学生に聞かれても困らないように確認だけはしておきましょう。

それでは、いってみましょう。

1、「収束」と「終息」の違い。

 

「収束」と「終息」の違いについて、まず結論から。

 

では、まずこの2つの違いについての結論。

「収束」は鎮まる経過・過程のことで、「終息」は鎮まった結果である。

分かりやすく言うと、

「収束」は事態がだんだんとひとつにまとまり収まっていく様子。

「終息」は(戦争・疫病などの良くない)事態も収まって、完全に終了したよ。

ということです。

よくよく漢字を見れば予想はつきますよね。

辞書ではどうなっているのか。…漢字から、単語から。

では、この2つ辞書には何と書いてあるのか。早速引いてみます。

まず漢字から。

「収」…①とり入れる。手におさめる。またとれだか。「収穫・収支・回収・増収」

    ②とらえる。「収監」

    ③あつまる。ちぢまる。「収縮・収束・収斂」

「束」…たばねる。うごきがとれないようにしめつける。束帯・束縛・拘束・約束」

広辞苑第6版 付録 漢字一覧

👉「収」については③。すると、どちらも広がっていたものがだんだんと一つにまとまっていく様子だということがよく分かります。

「終」…①おわる。おえる。「終了・有終・臨終」

    ②おわりまで。すべて。「終生」

    ③いちばんあと。「終電・最終」

    ▼終日(しゅうじつ・ひすがら・ひねもす・ひめもす・ひもすがら)・

     終夜(しゅうや・よすがら・よもすがら)

「息」…①いき。呼吸する。「嘆息・窒息」

    ②生きる。「生息・消息」

    ③やすむ。「休息・安息」

    ④やめる。しずめる。「終息・息災」

    ⑤生んだもの。むすこ。「子息・息女」

    ⑥ふえたもの。利子。「利息」

▼息子(むすこ)・息吹(いぶき)

広辞苑第6版 付録 漢字一覧

続いて、単語から辞書を引いてみます。

「収束」…おさまりをつけること。おさまりがつくこと。

     「事態のーをはかる」

「終息」…ことが終わって、おさまること。終止。「内乱がーする」

広辞苑第6版

「収束」…混乱していた物事がまとまって、おさまること。

     「ようやくインフレがーした」「争議がーに向かう」

「終息」…伝染病や戦争など、世間が沸き立つような状況が終わること。

     「このままでは不景気がーするようなことはないから、なんらかのてこ入れ策

     が必要となる。」「戦争がーする」◇終熄とも書く。

講談社 類語辞典

 

「争議がーに向かう」という例文にあるように、~に向かうという述語が「収束」という言葉の意味を端的に表しているように思います。つまり、完全にストップさせるというよりは、抑える、落ち着かせるといった意味合いです。

一方の「終息」は、「戦争がーする」という例文にあるように戦争は小規模でも続いているというよりは、終わらせたいわけです完全に。

終息宣言?収束宣言?

 

では、この記事のタイトルでもある「収束宣言」「終息宣言」結局どっちを使えばいいのか?

宣言するくらいですから、断定するわけです。~だ!と。すると「収束」か「終息」のどちらが適当かが見えてきませんか。

新型ウイルスの流行は、だんだんと収まってきているんです!(収束)

新型ウイルスの流行は、もう終わったんです!(終息)

答えは、終息宣言でしょう。ウイルスの流行は終わったということを宣言します。

2、「収束・終息」まとめ

 

以上、収束・終息の違いについて、述べてきました。

では、ここで質問です。

記事タイトル「使い分けの混乱をシュウソクに導きます。」と冒頭の「新型ウィルスの早期シュウソクを心から願う今日このごろです。」というこの2つの文では、「収束・終息」のどちらを使えばいいのでしょうか。

結論。

どちらも使えるです。

つまり、話し手がどう思っているかによって変わってくるということです。

例えば、多少の感染者が出ていたとしても、早く落ち着いた状態になってほしいと思っていれば「収束」でしょうし、いやいやそうではなく日々の感染者0は当然のこと、マスクなし、密密、旅行、パチンコ…等々何をしても白い目で見られたり、周囲に気を使ったりというようなことのない日常。そうした生活が早く戻って来てほしいと思えば、「終息」を使うでしょう。

つまり、本記事での私の思いとしては。

使い分けの混乱を「終息」に導き、

新型ウィルスの早期「収束」を心から願っている

ということです。