日本語学校、倒産!コロナ禍における日本語学校のリアル。これからどうなる!?

こんにちは。のりまき、です。

早速ですが、まずはこちらのデータをご覧ください。

  • 新型ウイルス関連倒産 544件(9/24時点)9月累計40件
  • 負債総額2633億5100万円
  • 業種別倒産上位 

 1位 飲食店 78件、2位 ホテル旅館 55件、3位 アパレル小売店 37件、

 4位 建設・工事業 34件、 5位 食品卸 34件など。

引用:帝国データバンク(https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html)

そう、9月時点のコロナ関連倒産の数字です。

コロナ禍が主因となる倒産は、今後も増えていくのでしょう。

倒産。

業種別では、飲食、ホテル旅館、アパレル小売りなどが上位を占めているようです。

こうした業種は、それこそ日夜、報道もされているのでその大変さは、国民の誰しもが知るところです。

そんな中ひっそりと、しかし、もろに影響を受けているのが、私たち日本語業界です。

第一波は3月末でした。

歴史ある日本語学校が事業縮小のため、閉校。

都内のある大手日本語学校でも4月~大半の非常勤講師が雇止め。

などなどです。

そして、いま第二波ともいうべき状況が来ています。それが

日本語学校の10月危機です。

この10月からまた倒産、閉校の第二波が来ると言われ、実際ちょくちょくお話を聞くようになりました。

しかし、残念ながらこの日本語業界についてはメディアで取り上げられることなどほとんどなく、相変わらず、水面下でひっそりと縮小・淘汰が進んでいきます。

ということで。

今回は、報道されることのない私たち日本語学校、日本語業界の現状について解説をしていこうと思います。そして、最後に今後の展望について私なりの予測をしたいと思います。

では、いってみましょう。

日本語学校の10月危機とは⁉ コロナ禍における現状のリアル。

現在の日本語学校をごくかんたんに説明すると、こうです。

全世界的に入国拒否を続けている国で、外国人留学生のみ相手に商売をしている。

ご理解いただけるでしょうか。この恐ろしさを。

上記をこれから具体的に解説していきたいと思います。

さかのぼること、2020年の4月。政府による緊急事態宣言、同時に全世界レベルで外国人の入国拒否が始まりました。

もともと4月期は一年でも入学者数が一番多い時期です。本来であれば、学校によってですが百数十人~数百人規模で入学するはずの留学生が、今年はたいていの学校でほぼ0。

8年前の東日本大震災の時でさえ、大幅に減ったとはいえある程度の新入生は入学して来ました。

それが、今年は0。

そして、それから6か月が経過した現在にいたっても入学した新入生はたったの数名。

それが何を意味するのか。

日本語学校は、今年の4月から営業面での売り上げがほとんど立っていないのです。

収入が0ではない理由は、在校生がいるからです。その在校生からの学費がいくらかあるので、なんとかしのいているということです。

留学生からの学費のみでやりくりしている学校は、もうほんとに厳しいです。

一方で、職員の人件費や建物の家賃など固定費は変わらず出ていきます。

この様な状況で、10月を迎えたわけです。

 日本語学校の10月危機とは。

2020年の4月、7月、10月に入って来るはずだった新入生(留学生)が、10月になっても入国できない状況が続いた場合(=売り上げが立たない場合)、日本語学校の経営的な体力が限界を迎える。

また、仮に入国が再開されたとしても、留学キャンセルや入学の延期、さらには来年4月に入って来る留学生が確保できなかった場合は、さらに悲惨な状況となる。

 

withコロナ。これからの日本学校はどうなる!?

ここからは、10月以降の日本語学校で起こる(起きている)こと。

※新型コロナウイルスの新規感染者数が現状と同じ100~200人(東京)で推移した場合。

  • その①:11月中旬〜 新入生クラスの開講
  • その②:在校生(2021年卒業予定の学生)の延長
  • その③:日本学校の淘汰(教職員の削減)

上記について、解説していきます。

その①:11月中旬〜 新入生クラスの開講

10月1日、ついに、やっと。。。入国制限が一部で緩和され、ビジネス関係者や留学生など長期の在留資格を持つ外国人が入国できるようになりました。                                                                             

テレビなどでも成田空港に到着した外国の人々の様子が紹介されていました。

ホントに待ちに待ったという感じです。

もちろんコロナ禍である現状、手放しで喜べることではないかもしれませんが、少なくとも片手放しぐらいなら喜んでも良いと思います。

1日1000人程度から受け入れ、様子をみて徐々に増やしていくようです。また、ベトナムなど16カ国、地域は感染も落ち着いているということで別枠で1,600人程度受け入れる方向で調整をしているという報道もあります。(朝日9/23付朝刊)

では、実際に新入生が入学し新しいクラスとして開講できるようになるのは、いつごろなのかというとそれが11月の中旬ごろというわけです。

10月の全世界的な入国制限の緩和から約1か月半で、ようやくクラスがオープンができる。

確認しておくと、10月から1か月半かかる理由は、3つ。

  1. そもそも入国者数が少ない。よって日本学校に入って来る学生も少なく、クラス単位にまとまるのに時間がかかる。
  2. 入国後の待機場所や公共交通機関を使わない場合の移動手段の確保に時間が必要。
  3. 入国後2週間、自宅待機をしなければならない。

とにかく②の2週間待機している間の滞在先や交通手段の確保が大変です。

旅行会社やホテルなどに手配を依頼することになるのか悩ましいところです。

いずれにせよ、この緩和措置により4月、7月、10月と入学を希望しながらも自国で待機していた学生たちが、ようやく入国できるようになるわけです。

コロナ禍も終息にはまだまだ時間がかかりそうですが、まあ、それでも少しは先が見えて来たということです。なにより。

その②:在校生(2021年卒業予定の学生)の延長措置

在校生の延長措置。

ここでいう在校生というのは、2019年4月、7月、10月、2020年1月に入学した学生たちのことです。

この学生は本来、2021年の3月に卒業し専門学校や大学、大学院に進学しなければなりません。

        

                                           日本語学校に通う学生たちはコースによって、1年3か月、1年6か月、1年9か月、2年と学習期間が異なりますが、卒業は同時です。学習期間は最大でも2年間です。

しかし、コロナ禍のせいで学習期間内に十分な教育が受けられていないのが現実です。

特に今年1月に入学した学生などは、入国してわずか2か月ちょっとで自宅待機状態になってしまいました。

そして、その後本格的に登校しだしたのが、早い学校でも5月末ぐらいからです。その間、オンライン授業でも実施されていれば、まだ良いのですがそれすら受けられていない学生も多いはずです。

こうした現状も含め、夏前に業界団体が法務省に対し要望書として提出しました。

結果的に、法務省は下記の「留学生及び日本語教育機関に係る取扱い」の中で、いくつか支援措置を公表しています。

これは法務省のHPにもあります。

                                           1、新型コロナウイルス感染症に関する外国人の在留諸申請について
(4) 留学生及び日本語教育機関に係る取扱い

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00157.html

ただこれには、延長の期間が明示されていません。そのため、1年なのか半年なのかという点については、今後を注視していく必要があります。

その③:日本学校の淘汰・教職員の削減

今後というか現在進行形で、日本学校の淘汰は進んでいます。

特にこれから年末にかけて、大きく動いていくことは間違いありません。そのインパクトは、4月以上のものになるのではないでしょうか。

日本語学校にとって、これからの3か月、10月~12月が本当の正念場になります。

ここを乗り切ることができれば、生き残れるそう思っています。

また、その過程において、常勤、非常勤問わず人員整理をしていかざるを得ないでしょう。これは仕方のないことです。

そもそも、日本語学校自体が淘汰・整理されている状況にあるわけですから。

そしてもし、第三波が今冬に来てしまったら。

そしてもし、再び入国拒否という事態になってしまったら。

そのとき、日本語学校はどうなってしまうのか。

現実的には、再び入国拒否をするということは、相当難しいのではないかと思っていますが。

ダメージが大きすぎるので。

日本学校として、あともう半年いや3か月をどうにか乗り切れるように、やれることはやっていく。

現場の一教師として思うことです。

まとめ。それでも日本語教師を目指しますか。

 

コロナ禍という災厄が、いまの苦境をもたらしているのは間違いないのですが、過去においても同じような苦境に立たされたことはあります。

振り返れば私が日本語教師になって10数年の間、ここまでとは言わないまでも、危機的な状況は何度かありました。

その最たる例が、2011年の東日本大震災です。

このときは震災後の日本滞在の不安からせっかく決まっていた進学を取り止め帰国してしまったり、中国や韓国の国内では、日本に対する偏向報道がなされたことで、日本留学を回避する学生など続出しました。そして、このときも多くの日本語学校が倒産の憂き目に遭いました。

私たち日本語学校の顧客は留学生、外国人です。それが何を意味するか

監督官庁である法務省の方針ひとつで、いかようにもなってしまう。

一学校の経営努力では、どうにもならないことが実際に起こりうるのです。

国内の日本語学校で日本語教師として働くということは、こうしたリスクもあるということです。

外国人と接することができる。語学力を生かしたい。誰かの役に立ちたい。将来的には海外で教えてみたい。

日本語教師を志望する理由です。これら全ては、日本語学校で叶えられます。それはお約束します。

ただ、どうしても知っておいて欲しい事実・リスクもある。

本記事では、そのことをお伝えしたかったわけです。

それでは。

日本語学校倒産…2022年1月現在は。

この記事から1年3か月後の2022年1月の状況をまとめたものがこちら↓。