知らないとヤバイ!外国人留学生に関する法律。事務手続きまとめ。

どうも、こんにちは。のりまき、です。

外国人留学生の入国も少しずつですが、やっと始まりました。

新クラス開講に向けて準備をしている日本語学校も多いのではないでしょうか。

さて今回は、外国人留学生が日本に入国してから、やらなければならない様々な事務手続きについて、解説していきたいと思います。

内容的には正直、めちゃくちゃ「地味」ですが、日本語教師としては、めちゃくちゃ重要で知っておかなければならない必須の知識です。

これ知らないと法律にも関わることなので、最悪の場合は留学生(学生)が「強制退去措置」になってしまったり、学校に罰則が出てしまうこともあるので、ぜひ押さえておきましょう。

強制退去措置。。。なんて嫌な言葉。

留学生の必須事務手続き

その1、在留カード

在留カードとは、外国人が日本において3か月以上滞在する場合、持っていなければならない(交付される必要がある)ものです。留学生の上陸許可や在留資格の変更、更新許可など在留に関する許可に伴って交付されます。

ごくかんたんに言えば、日本滞在におけるIDカードです。なので、普段から肌身離さず携帯していなければなりません。もし、持たずに外出して警官から職質など受けた場合、とっっても面倒なことになります。

反則金いくらぐらいかご存じですか?

出入国管理及び難民認定法の規定にはこうあります。

第二十三条二 中長期在留者は、出入国在留管理庁長官が交付し、又は市町村の長が返還する在留カードを受領し、常にこれを携帯していなければならない。

第七十五条の三 第二十三条第二項の規定に違反して在留カードを携帯しなかつた者は、二十万円以下の罰金に処する。

出入国管理及び難民認定法 

令和元年十二月四日公布(令和元年法律第六十三号)改正

20万円です。20万の罰金対象です。恐ろしい。。。

それで、この在留カード。日本に来たばかりの外国人が一体どこでもらえる(交付される)のかというと、それはもう「空港」しかありません。

空港で上陸許可証の印を押されるとき、交付されるわけです。そしてそこには、氏名、生年月日、性別、国籍などが記載されています。

住所欄は何も書かれていません。なので、入国後14日以内に役所で手続きをする必要があります。これは、記載事項に変更が生じた場合も同様です。

 【 届け先 】

(変更が生じてから14日以内)

  • 住所 → 居住の区(市)役所
  • 住所以外 → 入管

さらにこのとき、資格外活動許可も同時に申請することができます。

資格外活動許可とは

本来、ビザは就労や留学など日本で行う活動に応じて許可されるものです。

そのため、許可された活動以外にたとえばアルバイトなどしたいと思ったときには、資格「外」の活動を許可してもらうよう申請する必要があるわけです。

そうして、申請が許可されると在留カード(裏面)とパスポートに許可シールが貼付(ちょうふ)されます。

資格外活動許可証は、実際こんな感じ。

【在留カード 裏面】

【パスポートにシール】

その2、在留期間更新申請(ビザ更新)

留学生が日本に入国して、在留カードを受け取ったらまず在留期間の確認をさせましょう。在留期間とは、そのまんまですが日本にいられる期間のことです。そして、この在留期間更新申請のことを日本語学校ではたんに「ビザ更新」と呼んでいます。

日本語学校に入学した学生の場合、在留期間(期限)は、1年3か月です。入学時期には関係ありません。

【入学時期4学期ごとの期限】

  1. 2020年4月1日入国 → 2021年7月1日まで
  2. 2020年7月1日入国 → 2021年10月1日まで
  3. 2020年10月1日入国 → 2022年1月1日まで
  4. 2021年1月1日入国 → 2022年4月1日まで

ビザ更新は日本語学校が学生に代わり、入管に対し更新申請をするということです。ビザ更新に必要なものは以下の通りで、これを学校窓口に提出します。

  • パスポート
  • 在留カード
  • 写真(4cm×3cm)1枚
  • 経費思弁者(お金を出してくれる人)の送金証明書
  • アルバイトの給与明細及び課税証明書
  • 収入印紙代4,000円

在留期間の延長を希望する場合は、遅くとも在留期間満了の前日までに手続きをしなければなりません。

もし、更新手続きを忘れるなどして、在留期間が過ぎてしまうと、不法滞在者という扱いになってしまいます。

もし、不法滞在者になって(出して)しまうと、どうなるのか。。。

 

不法滞在者の扱い不法滞在者として、入管に収容され超過在留期間分の実刑を受けた後、

強制退去処分(措置)」になります。

また、不法滞在者の数は学校側にも当然大きな影響を及ぼします。それは、日本語学校の在籍者数にしめる不法滞在者などの割合が、5%を超えてしまうと入管から「非適正校」という烙印が押されてしまいます。

こうなってしまうともう最悪。営業活動が即できなくなるというわけではないのですが、入管に提出する書類が増えたり、ビザも半年程度しかもらえなくなってしまいます。

さらには、海外での学生募集活動にも影響が出ます。当然ですね、非適正校に学生を送りたいと思うでしょうか。

要するに、非適正校になるということは、日本語学校として営業を続けることが相当厳しくなるということを意味します。

なので、不法滞在者を出さないよう教師は日々、苦労しているわけです。ただ、実際にはビザ申請を忘れるなんてことはまずありませんので、心配ありません。

仮に、不法滞在者が出るとすれば、それはアルバイト目的で入国し進学もせず、そのまま行方をくらませてしまうといったケースでしょうか。

その3、国民健康保険

国民健康保険は、留学生も当然加入が義務付けられています。留学生も医療費は3割負担でOK。しかも毎月の保険料も申請すれば、安く済ませることができます。

また以前はなかったのですが、最近では就労ビザなど各種ビザ申請時にも国民健康保険証の提出が求められるようになりました。

これが何を意味するかというと、進学や就職などにも影響を与えるようになったということです。保険料の未払い続くと。。。

なので、きちんと申し込み、保険料も毎月きっちり払うよう学生には教えてあげましょう。

【 加入手続きの流れ 】

  1. 在留カード、パスポート、学生証(日本語学校、大学などの)を持って、住んでいる市区町村の役所へいきます。
  2. 役所の住民課で住民登録をします。
  3. 次に、保険課で①の3点を提出し、加入手続きをします。

  ※この時、必ず保険料の減額申請を忘れずしましょう。保険料は地域によって違いますが、   大体、月額1,000円程度です。

留学生のアルバイト。知らないとヤバイ、それって不法就労では?

留学生のアルバイトに関しては、ここ数年取り締まりが非常に厳しくなってきているように感じます。まずは、アルバイトの勤務時間や禁止事項について、入管法に明示されていますので、ちょっと長くて細かいですが、下記に引用します。

5 法第十九条第二項の規定により条件を付して新たに許可する活動の内容は、次の各号のいずれかによるものとする。
一 一週について二十八時間以内(留学の在留資格をもつて在留する者については、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの又は同条第七項に規定する無店舗型性風俗特殊営業、同条第八項に規定する映像送信型性風俗特殊営業、同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事するものを除き、留学の在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る。)

出入国管理及び難民認定法施行規則 第十九条5

ここでの大事なポイントは、2つ。

  1. 週28時間以内であること。長期休暇中は1日8時間以内。(週あたり40時間以内)
  2. 風営法で規定されている業種でのアルバイトの禁止。

②は当然としても、①の28時間以内という点について、特に学生には注意させたいところです。専門学校への出願の際には、出席率以上に、アルバイト時間を厳しく見られます。

また進学先だけでなく、ビザ更新時にも「アルバイト先の給与明細」と「課税証明書」を提出をしなければなりません。ちなみに、アルバイトをしていないという場合は、「課税証明書」を提出します。

では、もしアルバイトで28時間超過していたことが発覚するとどうなってしまうのか。

そうです。「強制退去処分」の対象です。

なので、ご自分の学校の学生が「不法就労」で摘発などされてしまわないよう、十分注意してください。

ちなみにですが、週28時間以内であればアルバイトのかけもちは可能です。

そもそも不法就労とは?

では、そもそも不法就労とはどんなことを言うのか、その定義がこちら。

  1. 不法滞在者が働く

→在留期限が切れている場合

  1. 入管から許可を得ていないのに働く

→留学生なら、「資格外活動許可」を得ていないのに働いている場合

  1. 入管から認められた範囲を超えて働く

→留学生なら、週28時間を超えて働いている場合

法務省出入国在留管理庁

http://www.immi-moj.go.jp/seisaku/pdf/illegal_employment.pdf

これら3つが不法就労となり、不法就労させた事業者には当然罰則があります。それがこちら。

不法就労助長罪」←いかにもな罪名。。。

👉3年以下の懲役・300万円以下の罰金。

さらに事業主が外国人だった場合、「強制退去処分の対象」になります。

ハローワークへの届け出をしていない、あるいは、虚偽の申告をしていた場合も30万円以下の罰金となります。

雇用する側、される側双方ともに摘発対象となるわけで、知らなかったでは済まされないことです。外国人留学生は、いまや貴重な人的戦力ですし、昔ほどではないとはいえ、とにかく稼ぎたい!という思いが強いです。日本人と同じような感覚で、シフトを組んでついついオーバーワークさせてしまわないよう雇用の際は気をつけましょう。

学生諸君、出入国在留管理庁は税務署を通じて個人の勤務時間を調査しています。

「バレないだろう」はありません。くれぐれもご注意を。

外国人留学生がやってはいけないアルバイト

では具体的に外国人留学生がやってはいけないアルバイトとは何か。

その代表的なものがこちらです。

  • スナック
  • キャバレー
  • 麻雀店
  • パチンコ
  • マッサージ
  • クラブ
  • エステ
  • ラブホテル
  • ゲームセンター
  • 不法チラシ配布(クラブなどの広告チラシを街頭で配ったりすること)

注意しなければならないのは、風俗営業に関係する店舗では、そこで行われる仕事の一切に関わることが禁止されていることです。たとえば、接客せず皿洗いをしているだけとか、閉店後の掃除をしているだけとかです。

過去には、派遣の掃除バイトで派遣先がたまたまラブホテルだったという学生がいました。

もちろん、即刻辞めさせましたが。

また、専門学校への進学が決まっていた学生の話ですが、卒業直前の3月に学校には嘘をついて働いていたスナックの給仕バイトが立ち入り検査により発覚し、強制退去処分になったということも実際あります。

もう一度。

学生諸君「バレないだろう」はありません。くれぐれもご注意を。

日本語学校卒業後の進路別ビザ手続き

1、大学などへ進学する場合

専門学校や大学などへ進学する場合は、基本的に新しい学校へ進学する前に在籍している日本語学校で在留期間を延長します。ただし、在留期間の延長申請は、在留期限の3か月前からしかできません。

そのため、卒業時にビザが3か月以上残っている場合は、進学先で延長申請することになります。

2、就職や結婚の場合

就職や結婚の場合は、ビザの在留期間の延長申請ではなくビザそのものを就労ビザなど滞在目的に応じた資格に切り替える必要があります。

また、入管で正式に変更が認定されるまでは「留学」ビザで滞在することになるので、日本語学校に在籍していなければなりません。これは、たとえば日本人と結婚をしてビザを「日本人の配偶者など」に変更する場合や、すでに日本に滞在している家族を通じて、「家族滞在」ビザに変更する場合も同じです。

仮に、認定前に仕事を始めたりしてしまうと、「不法就労」として、ビザ不交付の対象になってしまいます。

3、日本語学校卒業後に国へ帰る場合

まずルールとして

 

日本語学校は学生の卒業・退学日から2週間以内に入管に対し、該当者の報告をすることが義務付けられています。

これにより、対象の学生の留学ビザやそれに付随する資格外活動許可なども全て失効します。

よくあるケースとして、日本語学校卒業後自国へ帰るつもりの学生が、在留期限が6月まであるので、それまでは日本にいてアルバイトしたいということがありますが、これはもちろんダメです。

👉当然ですが、在留資格を喪失することになるため、取り締まりの対象となります。

※帰国の際は、きちんと住居の退去手続きや保険証、銀行口座など所定の手続きを済ませた上で帰国しましょう。

 留学生の事務手続きまとめ

今回は、留学生の事務手続きということで解説をしてきました。

法律に関わるようなことも多くありますが、日本語教師として最低限知っておくべき重要なことですので、ぜひ押さえておいてください。

入管法に関して、基礎からまず知りたいという方は以下がお勧めです。

入管法に関してまったく初めての方でも身近な例を挙げて、とても分かりやすくまとめてあります。みなさんは、外国人の定義とは何?と聞かれて答えられますか?日本の「難民」問題についても触れられています。