こんにちは。のりまき、です。
今回は、日本語教師のお金の話。ずばり「収入」についてです。
一体、いくらもらっているのか。
将来、日本語教師になろうか検討中の学生さん、社会人の方はもちろん、日本語教師になったばかりの新米さんも必読です。ベテラン教師の方は、ご自身の今と比較されてもおもしろいかもしれません。
20代のちょうど真ん中ぐらいから日本語業界に入り13年と少々。そこそこ日本語業界のことも分かるようになった私、のりまき、がずばり答えます。
「安い安いと巷ではよく言われますが、実際のところどうなのか?」
そして
「日本語教師で果たして食べていけるのか?」
この2つの疑問について。
今回、結論を出します。おまけに今後の展望についても少し私の考えをお伝えできればと思っています。
ちなみに、国内の日本語学校がベースです。海外や国内でもフリーランスとして働いている日本語教師は
それでは、いってみましょう。
日本語教師をする上で、たとえわずかでも「稼ぐ・稼ごう」という意識のある人。この記事読むのは、おススメしません。いやいやいや、それでも出世、たとえば校長にでもなれば違うんでしょ、という人も。この記事読むのは、やっぱりおススメしません。なぜって…。まあでも、日本語教師のリアルを知るという意味ではいいのかも。やっぱり、最後までお読みください。
目次
常勤講師の収入のリアル
・給料の構成は?手当てはあるの?
・月収の相場~年収の相場。ボーナスはあるの?
非常勤講師の収入のリアル
・コマ給(時給)ってなに?60分=○○円?
・リアルな時給相場公開
終わりに
・昔に比べ待遇はホントに良くなった…。
【常勤講師】収入のリアル。初任給から年収まで。
では、まず冒頭の問いに答えます。
確かに安い。が、昔ほど(2000年代中盤ごろ)ではない。初任給ベースでは他業種と遜色ない。
ただしボーナスは、年2回出ても各1か月が基本。
食べてはいける。ただし男性で家族持ちならば、配偶者の協力必須。学校の収入だけで家族を養うのは至難の業です。
ただ、この時代です。副業などの組み合わせ次第では面白いかもです。
以下は2019年、コロナ禍以前にHPなどに掲載されていた初任給(大卒・未経験)です。初任給の高さで、ランク付けしてみました。業界全体の水準ではありません。
A校 300,000円
T校 250,000円
K校 250,000円
S校 240,000円
K校 215,000円
J校 220,000円
いかがでしょうか。全産業平均の初任給と比べても遜色ないどころか、大幅に上回っている学校が多くあります。ちなみにA校は年俸制となっています。
念のため、2020年の9月現在のものも調べてみましたが、やはりコロナ禍の影響もあり現在は募集していないという学校が多いです。また採用情報としてはあっても、具体的な金額までは掲載していない学校がほとんどでした。
採用情報を掲載している学校は、応募者を厳選していることが分かります。
そんな中、少ないながらもHP上で金額まで掲載していた学校は、こちらの2校です。1校は事務職ですが。
① ISI日本語学校 230,000円~400,000円
※初任給は23万円です。さすが業界大手です。
② 行知学園日本語学校 250,000円
※現在は募集修了。こちらは、グループ企業内で中国人留学生対象の塾もされてます。
給料の構成は?手当にはどんなものがある?
次は、給料の構成・手当です。これはもう各学校によって様々ですが、一般的なものとしては下記の通りです。
・資格手当
→日本語教育能力検定を持っていれば、毎月もらえます。数千円程度。
・担任手当
→担当クラスごとに5,000円~10,000円程度が多い印象。
・残業手当
→みなし残業代として、予め決められた額が給与に含まれているもの。
・役職手当
→主任、学校によっては副主任から支給される。
次に、あればうれしい手当
・住宅手当
→居住地域によって出る時、出ない時がある。
・扶養手当
→日本語学校でも出してくれる学校はあるのです。
その他
手当はお金だけではありません。
その学校独自の教材を支給というところもあります。これもありがたいですね。テキスト高いですから。
年収の相場は?昇給は?ボーナスは?そもそも出るの?
日本語教師の年収相場
では、日本語教師(常勤)の年収は実際いくらなのか。
まず、厚労省発表の平成30年賃金構造基本統計調査から専門学校や日本語学校における給与水準をみてみましょう。ちなみに日本語学校は各種学校という扱いです。
この数字、かなりリアルな数字なので覚えておきましょう。
勤続年数10年 → 500万
日本語学校単体の数字ではないとはいえ、この数字、実際的にかなりの目安になると思います。私、のりまき、のねんs
新入社員(未経験者)の初任給が、仮に20万円だとして、ボーナスが大体1.5か月分。するとざっくり年収は270万です。相場観でいうと、実際には新入社員の場合で、大体300万円弱(250~300)ぐらいではないでしょうか。
先述のA校は年俸制で360万です。すごいの一言。
そして、次は昇給についてです。
昇給はします。額は年によってまちまちなのですが、私の場合、5,000円~35,000円ぐらいの幅で推移してきました。
一方、ボーナスはというと年2回。入社後、半年に満たない場合は1回の支給となるケースが多い様子。肝心の支給額ですが、当然業績によって変わってきますので何とも言えませんが、2~4か月分/年といった学校が多いです。
つまり、
- 統計調査
- 初任給
- 昇給
- ボーナス
これらをまとめると、将来、5年、10年先の日本語教師の年収も大体のところ見えて来ませんか?
いや見えるはずです。
それが、明るいかどうかはさておき。
【非常勤講師】収入のリアル。コマ給から手当てまで。
非常勤講師の給料の仕組み・【大前提】の知識
非常勤講師の収入について、まずは大前提をお伝えしようと思います。
非常勤講師はパート・アルバイトと同じ様に、働いた時間に対し給料が支払われます。
ですが、普通のパート・アルバイトとちょっと違うのは、
1時間あたり○○円ということではなく、1コマあたり○○円という考え方です。(コマ給)
つまり、1時間=1コマではない。ということです。
1コマ=45分です。
どうして、1コマ=45分なのか。法務省が定めた日本語教育機関の法律ともいうべき告示基準の中で、1(単位)時間は45分を下回ってはならない旨記述があり、これを授業時間の基準として採用しています。
それから、もう1つ重要な点があります。給料は働いた時間≠給料です。
教えた時間=給料(コマ給)だということです。要するに授業として教えている時間しか給料は支払われないということです。
つまり、授業準備に1時間かけようと10時間かけようともらえる給料としては、同じ1授業あたり180分(4コマ)でしかありません。授業準備には何も出ないのです。
さらには、授業でテストなどがあった場合、当然採点までする訳ですが、学校に居残って採点しても、自宅に持ち帰って採点しても、それに対して支払いはありません。(出る学校もある様ですが。)
【答え】
850円
東京都の最低時給以下です。
いかに日本語教師という職業が大変かお分かりいただけたでしょうか。
冒頭にもお伝えしましたが、間違っても稼ぎたいという意識の方には向かない仕事だということです。
私たちプロとして、外国人に日本語を教えているわけですが、気持ち的にはボランティアと同じかもしれません。
学生の笑顔が、とか。学生たちがかわいくて、とか。この子をなんとかしてあげないと!みたいな。
ほんとにそんな気持ちの先生たち多いです。それが良いことなのかどうかはさておき、そうでなければ、この仕事を続けることはできません。
日本語教師。特に非常勤講師として、働くということを考えた場合、この点は最低限抑えておきましょう。
非常勤講師の給料①:時間給の相場は?
ここからは、実際に各校の時間給をみてみましょう。
以下は2019年、コロナ禍以前のHPなどに掲載されていた未経験者の時間給です。 (時間給=1コマ=45分換算)調べた学校数は22校、下記は任意の学校です。
A校 2,000円
M校 1,875円
S①校 1,870円
S②校 1,850円
T①校 1,800円
E校 1,800円
T②校 1,750円
O校 1,750円
K校 1,700円
I校 1,650円
H校 1,600円
T③校 1,500円
上限は2,000円、下限は1,500円で、平均時間給は1,746.6円という結果でした。
もちろん上限としてもっと高い時間給を出している学校もあるでしょう。下限として1,500円以下はないように思います。
非常勤講師の給料②:手当などはあるの?
では、時間給以外にどんな手当があるのか。以下に挙げてみます。
- 交通費全額支給
- 資格手当
- 時間給が一定程度になった場合、ミニボーナスの支給がある
- 担任手当
- 担当したコマ数の多さによって、別途超過手当がある
- イベント参加時に行事手当が出る(学生の引率など)
- 会議手当
- 研修会(勉強会)手当
- 副担任(チューター制)手当
調べた結果、上記9つが手当として支給されていることが分かりました。この中から、学校によって複数手当として支給している学校が多い様です。ウチもそうです。
ミニボーナスの支給は良いですね。ウチにはありません…。また資格手当(検定合格)は、あるだけで永続的に支給されるので、やはり資格はあった方が良いですね。
この手当については、本当に各学校で様々なので採用面接の際に(ハードルがが高ければ、採用説明会などで)聞いてみると良いでしょう。
大事なことです。
非常勤講師の給料③:モデル月収
では、実際のところ未経験者が非常勤講師として働き始めたら、月いくらぐらいもらえるのか。
ここでは、平均コマ給の1746.6円を分かりやすく1,750円にして計算します。手当も交通費以外は考慮しません。
もちろん、コマ給なので授業を担当すればするほどお金としてはもらえるのですが、
上限があります。授業に入れる上限が。
この上限、本人の体力とか、教案の本数的に大変なので、とかそういうことでは、ありません。
日本語学校の告示基準によって、です。以下に該当箇所を抜粋しました。
十四
教員の1週間当たりの授業担当時間数が,その指導経験及び当該日本語教
育機関における職務内容の状況に応じて定められ,かつ,25単位時間を超え
ていないこと。→ 日本語教育機関の適切な運営と教育の質を担保する観点から教員の1週間当
たりの授業担当時間数の上限を定めるものである。ただし,疾病その他やむを
得ない事由により授業が行えなくなった教員に代わり,授業を行ったことによ
り一時的に1週間当たり25単位時間を超えることとなった場合は,この限り
ではない(飽くまで一時的な場合に限られ,急な辞職や長期の病気療養の場合
には,速やかに代替の教員を確保し,1週間あたりの授業時間数が25単位時
間を超えないようにしなければならない。)日本語教育機関の告示基準
法務省入国管理局
平成28年7月22日策定
25単位時間=25コマです。つまり、どんなに授業に入ったとしても、25コマを超えて教えることができないというわけです。
…ということを踏まえ、非常勤講師として働いた場合のモデル月収は、
12~16時間(コマ)/週で、月84,000円~112,000円+交通費といった感じでしょうか。
あくまで未経験者で手当なし、という前提です。
慣れてくれば、相当しんどいですが週24コマも可能は可能でしょう。その場合、
168,000円+交通費ということになります。
12コマを例にした理由は、未経験者の場合「教案を書く→フィードバックする→教案を書く」の流れの中で、12コマが質、量の限界だろうと感じるからです。12コマということは、1回の授業が4コマなので、週に3クラス教えるということです。「質」があっての授業です。
常勤講師&非常勤講師の収入まとめ・今後の収入予測
本記事では、日本語教師のリアルな収入・給料・時間給について解説して来ました。
冒頭にも書きましたが、
「日本語教師で果たして食べていけるのか?」
という問いに対して、
高くても、安くてもその事実を知ることは大切です。高くはなika
また、今後の日本語教師の収入予測としては、今後も緩やかに上昇していくことは間違いないと思っています。
留学生に限らず、外国人人材の流入は今後も増えていくのは間違いありません。そして、それに伴う法改正、公的資格の創設など国を挙げて着々と進められているからです。
コロナ禍は一過性のもので、無視して良いです。
もう一つ、私が非常勤として、この日本語業界に足を踏み入れてしまったときの、時間給は
1,500円でした。
それが現在では、数百円増しからのスタートです。物価、税金などあるので単純ではないですが、
上昇したことは間違いありません。
仮に1コマ=1700円で、1日の授業時間が4時間(4コマ)だとして、授業準備に3時間かけ、授業後にはテスト採点を自宅で20人分こなす、その際、かかった時間が1時間だった場合、時給換算すると果たしていくらになるのでしょうか。。。