こんにちは。のりまき、です。
日本語教師の仕事って、日本語を教えるだけ…?
じゃないんです。常勤の場合。
でも授業以外の仕事ってあんまり知られていません。
そこで、今回は日本語教師の授業以外の仕事について解説していこうと思います。
日本語教師になりたいと思っている方や常勤講師を目指す非常勤講師の方、
ぜひ、参考にしてみてください。
【常勤&非常勤】出勤から退校までのリアルなタイムスケジュール
【常勤講師】某日のタイムスケジュール
では、まず常勤講師の1日のおおまかな流れを見ていきましょう。
【非常勤講師】某日のタイムスケジュール
【常勤】日本語教師の仕事
ここからは、日本語教師の仕事について詳しく解説していきます。
まずは、【常勤講師】から。
常勤講師の仕事としては大きく6つあります。
- 日本語教授(常勤&非常勤)
- 学生管理(生活指導・進学指導)
- コースデザイン・カリキュラム・教材選定
- 関係機関(主に専門学校や大学)との折衝
- イベントの企画・運営
- 求人・採用活動・クラス担当の教員配置
上記を常勤講師の中で、分担する(チーム制など)ということが一般的です。
学校の規模が小さいところなどは、一人一人が横断的に担当することになるかと思います。
また、これ以外に留学生受け入れのためのビザ申請業務を一部、教員が担当する学校もあります。
そして管理職ともなれば、教員配置や評価などマネジメント業務も入ってきます。
日本語教師のお仕事その①:日本語教授(常勤&非常勤)
日本語の教授。
当たり前すぎるかもしれませんが、日本学校のメインコンテンツともいうべきお仕事です。
一般に0レベルと言われるひらがな、かたかな指導のレベルから、すでに日本語能力試験のN1を取得していて、かつ流暢に日本語を操る学生もいる上級レベルまでの学習者に日本語指導をします。
学習者は主にアジア圏で、現在は中国人とベトナム人がそのほとんどを占めています。
ここではやはり教壇に立って実際に教えるということがメインになるわけですが、大変なのは教案作成を始めとする授業準備です。
教案作成。まあ最初の1~2年はとにかくしんどいです。
1年でも書き続けることが出来れば、もう大丈夫。ブログとおんなじ
でも最近は良質な情報も多く出ていますので、昔より格段に作成しやすくなったことは間違いありません。
実際の授業については、大変なときももちろんありますが、基本楽しいので。あとは体力がどれだけ続くかってところです。
ちなみに授業に入って楽しいと感じられない人は、極論この仕事向いてないと思って良いですね。
また一方で「授業」は、できないとクレームにつながります。そしてそのクレームはやがて営業に支障をもたらします。大変ですよね。
特に未経験者の場合、どうしたって最初のうちは授業がうまくいかないことが多々あります。それに未経験者だということは、学生にもすぐバレてしまいますし。
でも、大丈夫。クレームを怖がる必要はありません。ただ教えることに集中し「一生懸命」汗をかきかきやれば良いのです。
その姿勢は逆に好感をもたらしたりもます。「誠実さ」と言ってもいいかもしれません。
最後まで手を抜かずいきましょう。
最後に、常勤講師の授業時間は、週16コマ~20コマが基本ではないでしょうか。(1コマ=45分)
日本語教師のお仕事その②:学生管理(生活指導・進学指導)
お次は、学生管理です。
「授業の提供」が日本語学校にとってのメインコンテンツがであるなら、
この学生管理は、学校側・運営者の視点に立ったとき、常勤講師に期待するもっとも重要なお仕事と言えるでしょう。
逆に言うと、この学生管理ができないと常勤講師としては、難しいということです(゚Д゚;)
ちょっと引かれたかもしれませんが、それぐらい重要なのでぜひ知っておいてください。
学生管理をごくかんたんにいうと、次のようなことになります。
学生を毎日きちんと学校に来させ、専門学校なり大学なりに進学させること。そして、アルバイトを28時間を超えてさせないよう指導する。
「学生を毎日きちんと学校に来させ」→出席管理がきちんとできている。
「専門学校なり大学なりに進学させる」→オーバーステイさせない。
「アルバイトを28時間を超えてさせない」→ビザ更新に影響が出る。
これです。
まぁ、少し極論めいてはいますが、大筋このような感じです。
どんなに素晴らしい授業が出来ても、不法滞在者を出してしまったら担任としてアウトです。
もちろん、それで即クビになるとかそういうことではありませんが、担任としての評価・信用が下がってしまうことは間違いなくありません。
なぜなら、不法滞在者がある一定の割合を超えてしまうと、その学校は学生の募集すらできなくなってしまうからです。
すると最終的にどうなるか、…倒産です。
なので、先生たちは1日でも休んだら電話&LINEで連絡、3日無断で学校を休もうものなら、即自宅訪問です。不在の場合は置き手紙なんかしたりして。大変なんです。ホントに。
お分かりでしょうか。この学生管理、常勤講師になっておそらく一番苦労することになるお仕事です。
まさに人対人。まして、相手は違う文化の中を生きて来た人達です。
一筋縄にはいかないことなど星の数ほどあります。
以上、日本語教授と学生管理についてお伝えしましたが、この2つは常勤講師個人として最低限かつ最大のお仕事といえます。
日本語教師のお仕事その③:コースデザイン・カリキュラム・教材選定
日本語教師のお仕事3つ目は、コースデザイン・カリキュラム・教材選定です。
これからお伝えする3〜6に関しては、個人というより、学校あるいは部署全体で取り組んで行くようなお仕事になります。
その中でもコースデザインは、授業というコンテンツの骨組みを作っていく作業とも言えます。
コースデザインとは
そもそもコースデザインとは、目標とする言語(日本語)をより効果的に理解するために、誰が誰に何をどのように教えるのかといった教育計画のことです。
そして、コースデザインは大きく4つの段階に分かれています。
第一段階は、新入生として入ってきた学生の日本語力を確認します。確認方法には、プレースメントテストを用います。
学生をこれまでの自国における日本語学習期間で分け、それぞれの学習期間に合わせたテストを実施します。
たとえば、3か月未満なら「ひらがな・カタカナ」+N5レベルをするかどうか。6か月未満ならN4レベルの問題。完全0レベルなら「ひらがな・カタカナ」のみといった具合です。
(完全0なんてレベルは本来いないはずなんですが…。いるんです。)
そして、その出た結果に基づいてクラスを決めて行きます。
第2段階は、カリキュラム作成です。まずは1〜2週間程度の比較的短い期間で作成し学生の様子をみます。教科書のどの項目(何課)からスタートするかを決め、さらに具体的な日々の指導項目としてカリキュラムに落としていきます。
また、同じレベルの新入生であっても漢字圏と非漢字圏とでは、漢字の指導方法・内容が変わってきます。
続いての第3段階は、実際の教授活動つまり授業です。
そして最後の第4段階目が、教授後の生活指導や進路相談になります。
以上がコースデザインのおおまかな流れになります。この中の第2段階をチームまたは個人として担当します。比較的小規模な学校であれば、校長や主任教員などが大筋を決め、残りを教員全員で手分けしながらといった感じで進めることが多いようです。
この他に、教科書選定やテスト作成なども行います。テスト作成については、大枠を決めてあとは常勤講師で分担して作っていくことが多いです。
メインテキスト自体変わることはあまりないのですが、副教材はその時々の定着度やまたは国籍の違いなどによって変えることもあります。
コースデザインとしての仕事は、日常生活上の日本語、進学のための日本語(試験対策)、最近ではCEFR(セファール)対策ということで日本語能力試験の合格率なども一層求めらるようになりました。
自分たちの決めた教材・計画により、学生の日本語力向上が見られればこれ以上ないでしょう。
日本語教師のお仕事その④:関係機関との交渉
日本語教師のお仕事4つ目は、関係機関との交渉です。
こんな言い方はアレですが、日本語学校は外国人留学生にとってあくまで一時的な受け入れ機関に過ぎません。
彼らがきちんと望む形で進学を果たすためには、進学先である専門学校や大学・大学院など上級学校との良好な関係構築は欠かせません。
結果として指定校推薦や特別枠のようなものがもらえたりします。
上記以外だと、出版社や旅行会社、同業者、公共施設、といったところでしょうか。
場合によっては、警察にもお世話になることがあります。もちろん「教師が」ではなく。
私自身、都内にある複数の警察署に拇印をして回っていた時期があります…。
また、そうして得た情報を学校内で共有していくことも重要です。
たとえば、進学シーズンのある日、1つの専門学校に対して、複数の教師が電話で同じようなことを質問していたなんてことは、ありがちなことですが、非常に恥ずかしいですよね。
それから、外に仲間を作った方がいいのは、日本語学校も同じです。
どんどん外へ出ていきましょう。
日本語教師のお仕事その⑤:イベントの企画・運営
日本語教師のお仕事5つ目は、イベントの企画・運営です。
よくあるイベントとしては以下の通り。
- 日帰り旅行(遠足)…東京ディズニーランド/シー、富士急ハイランド、動物園、水族館など
- スピーチコンテスト
- 合唱コンクール
- 花見
- 防災訓練
- 茶道や着付けなど文化体験
- スポーツ大会/運動会
- 入学式・卒業式
日本語学校では、年間に4回と最低限実施すべき活動の回数が決められています。
上記以外にも、たとえば七夕やお祭り体験など様々なイベントが用意されています。
この仕事の醍醐味に大勢の人間を動かすことができる、ということがあります。
たとえば、スポーツイベントの担当になったとします。
数百人~千何人という数の人間(学生)を動かさなければなりません。しかも相手は日本語が不十分です。というより、そもそも数百人規模のスポーツって何よって話です。
それでも、仕事なので考えるわけです。
苦労して企画・準備し、良い天気になることを祈りながら当日を迎える。
そして迎えた当日は、ハプニングの連続です。
なかなか集まろうとしない、タバコを吸いだす、すぐ帰ろうとする、そして、そのうちケンカが始まる、まあ大変です。
でも競技が始まると皆真剣に汗をかきながら、楽しむ。
あっという間の一日が過ぎていく。そして、最後に思うのです。
「ああ、楽しかった」と。
仕事でこんな楽しい気分が味わえるなんて最高じゃないですか。
それが、イベント企画、ひいては日本語教師の良いところです。
イベント・企画の担当にでもなったら、終わるその瞬間まで気が抜けませんが、終わったあとの充足感はくせになること間違いありません。
日本語教師のお仕事その⑥:求人・採用活動
日本語教師のお仕事6つ目は、求人・採用活動です。
【求人編】
主な求人方法
- 求人サイト(自社サイト)
- 教師採用合同説明会
- 養成講座併設の日本語学校に営業
- 日本語学科のある大学に営業
- 口コミ・紹介
いまでこそ(2020年9月)求人サイトを見てもほとんど求人情報は出ていませんが、2019年など各種求人媒体上では、日本語教師を求める学校でいっぱいでした。
たとえば、日本語教師の求人サイトとして有名なものに「NIHON MURA(日本村)」があります。
こういったサイトに求人広告を載せたり、イベンター主催の教師採用説明会に出展したりします。
教師採用説明会では、学校紹介もそこそこに、見学に来てもらえるよう誘導しなけれななりません。また、多いときには300人以上の来場者があり、1日かけて行うので、終わったころにはもうへろへろです。ちなみに説明会は、1~2月、7~8月の時期にそれぞれ3~4回程度開かれます。
今年はいまだ0ですが…。
あとは、ズバリ営業ですね。
同業の日本語学校や大学に伺って、「どうか、提携を!」と願うわけです。
大学訪問の際には、その大学出の常勤がいれば、なお良いですね。
日本語教師とはいえ、営業力も求められる時代です。
特に大学はホントに変わりました。何がか。日本語学校に対する態度です。以前はホントに塩対応。電話してもけんもほろろに終了なんてことよくありました。
最近では、大学の学内で単独の説明会を開かせてくれるまでになりました。
いやー継続って、ホントに大切なんですね。実感してます。
最後は、これ。口コミ・紹介です。
私自身、養成講座が終わってぶらぶら(笑)していたときに、同じ養成講座の仲間から声をかけられたことが、きっかけこの業界に足を踏み入れてしまったわけです。
紹介してくれた先生にはプレゼント(現金)を差し上げまーすなんて言ったら、面白いかもしれませんね。
【採用編】
採用のメインは何といっても、模擬授業です。
採用担当または常勤講師が複数名、学習者役となり40、50分程度の授業を見るのですが、応募者の方が苦労して作られた教案、そして授業展開なので、こちらも真剣です。
終わったあとにはFBとして、ずばずば指摘して差し上げるわけです。ちなみに採用担当が模擬授業でどんなところを見ているかについては、こちら。
無事、模擬授業を通過したら、校長面談などを経て晴れて採用となります。
【入社後】
入社後は定期的に勉強会を開いて、指導方法や困っていることなどについて意見交換をする場を設けたり、未経験の方には教案指導ということで、しばらくの間マンツーマンで指導にあたります。
以上が採用・求人活動+αになります。
日本語教師のお仕事・まとめ
今回は、日本語教師のお仕事について主なもの6つを見て来ました。
中でも重要なお仕事が、1「授業」と2「学生管理」でした。
この2つだけは覚えておいてください。大事なことなんで。
まとめます。
日本語教師のお仕事は、とにかく人対人。
学生と教師というより、お客さんとインストラクターというイメージでいてください。
つまり、日本語教師という仕事は教育業ではなく、サービス業だということです。
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