日本語教師が授業で絶対に触れてはいけない話題とは。

もったいぶって、次ページまで飛ばせてしまいました。すみません。。。

では、解答です。

解 答

問題:以下の地図を見た学生のクレームとは?その学生の国籍とクレーム理由をお答え下さい。

回答

国籍:中国

クレーム理由:中国の地図なのに台湾が載っていないのはなぜだ。おかしい。

いかがですか。お分かりでしたか。

地図を見て、即分かった方も多いはず。そうです、この地図はまさに中国なわけですが、「台湾:中華民国」は載っていません。中国人にとって「台湾」はまさに自国領。その自国領である台湾が載ってないとは、どういうことだと。何か意図があるのではないのかと。そういうことです。

もちろん、この地図を使用した教師に意図などありません。ネットで「中国 地図 イラスト」と検索し、そこにあった良さげなものを使った。ただ、それだけ。台湾の有無にまでは思い至りません。

しかし、それが中国(一部・特定の)学生にとったら大問題、許し難いことだったわけです。実際、オンライン授業の間は表向き特に何も起きませんでした。問題はその後です。中国の留学院(エージェント)になんとその授業中のスクショ画像をコメントとともに送り付け、批判して来たのです。

授業中のスクショを撮って国元に送る?? こっわ。怖すぎです。

確かに今回の場合、教師の側に配慮が足りなかったのは事実です。地図を提示するなら、やはり考えなければなりませんでした。

現在、日本は台湾を自国領とする中国の立場を「十分理解し、尊重する」としています。と同時に台湾とは国交を断絶しています。それが何を意味するか。載せていいものかどうか。載せる必要性がああったとしてもです。外務省のHPを見ても中国は国として色分け表示がされません。(台湾はそもそも国名すら出ていません)

外務省HP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asia.html

要するにグレーなわけです。

今回の場合、中国人スタッフが速やかに対応してくれたおかげで、事なきを得ました。が、もしそのクラスに台湾人学生がいたら、もっと大変なことになっていたでしょう。彼らをキレさせたら大変です。

ということで、ここまでクイズに対する回答を述べて来ましたが、絶対に触れてはいけない話題の1つ目とはつまり「政治問題」です。

この話題で毎年、教師と学生との間でトラブルが何件か起きています。今回のケースとは違い教師の側から中国人学生に台湾について話題として提示し、その中で自身の考えを伝えたところ炎上してしまったというパターンもあります。←学生トラブルはほぼこのパターン。

日本人同士が政府の批判をすることとは、わけが違います。しかも、今はコロナ禍で学生自身ストレスを抱え敏感になっています。少なくとも提示や説明の仕方については、十分、注意する・気遣う必要があります。それが出来ないなら、そもそも話題にしない。これしかありません。

また地図に関しては、出さない。見せない。もう、ほんとこれ!

絶対に触れてはいけない話題その2

絶対に触れてはいけない話題、続いてはLGBTに関することです。特に、Tのトランスジェンダーです。もちろん少数ですが、割合として近年増えているように感じています。これについては授業で話題にするというよりも、どちらかと言えば、担任として接する上で注意したいことです。なので、絶対に触れないというわけにはいかないのですが、たいていの場合、学生自身が打ち明けてくれます。

そうでない場合でもこちらから、何かアクションを起こしたりはしません。あくまで自然に話してくれるまで基本、待ちます。

最近では、トランスジェンダーの学生を受け入れてくれる大学も増えて来ました。実際、私も過去に2人トランスジェンダーの学生を受け持ったことがあります。その学生たちの希望進路は大学です。日本語力はどちらの学生も高く、願書提出の際多少のトラブルはありましたが、最終的に都内の私立大学に合格できました。

また、日ごろレズビアンだと隠さない学生が女性教師に好意があるとして、打ち明けて来たこともあります。そのような場合は、もちろんきっぱり断って、終わり。

それだけです。とにかく、いたずらに騒ぎ立てないこと。これが大切です。

その他に、話題として注意しなければならないのは、やはり宗教的な問題。宗教そのものです一歩間違えれば、炎上どころではなくなります。学生から教師個人の考えなどを聞かれた場合であっても、客観性を持たせた一般論で済ませた方が良いです。

学生も本当に教師個人の意見を聞きたいというわけではなく、話をしたいだけの場合もあるますので。

それでも絶対に触れてはいけない話題に触れなければならない時

ここまで絶対に触れてはいけない話題をいくつかご紹介しましたが、実際には日本語学校のカリキュラム上、どうしても触れないわけにはいかないことがままあります。たとえば、時事問題やニュースを扱う時間などがある場合ですね。そのような場合の注意点は次の2つ。

  1. 客観的な立場を通し、教師個人の意見(主義主張)は控える。
  2. 学生の主張は、決して否定せず最後まで聞く

この2つに尽きます。わりと年配の社会人経験豊富な先生は、この辺り非常に上手いです。年の功ですかね。ニュースなどは上級レベルのクラスで語彙のコントロールも必要ないということもありますが。

どちらも当たり前のようなことですが、実に出来ていない(どうしても自分の意見を押し付けたい・自己主張の激しい)教師が多いように感じます。

絶対に触れてはいけない話題・まとめ

この仕事をしていると、どうしても学生とのトラブルの1度や2度は必ず経験します。特に若い人ほど。トラブルの内容は様々ですが、その1つに今回ご紹介した「触れてはいけない話題」というものがあります。

かつて、2000年代の中ごろの中国人学生は、この様な話題に対してはその場ですぐ反応がありました。教師にその場で意見するのです。それはおかしい!と。

でも今は違います。授業の後で、受付に来て事務スタッフに言う。あるいは、SNSに流す。あるいは、留学エージェントに訴えるなどです。その場で意見でもしてくれたら、こちらも反省できるのですが、そうしたことはめっきり少なくなりました。きちんと意見交換をしようとしてもできません。

いい悪いではなく変わったのです。

あなたなら、「この触れてはいけない話題」どう扱いますか。

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