日本語学校のオンライン授業における問題とは。ランキング形式でご紹介。

こんにちは。

のりまき、です。

バタバタが続き2か月近く記事が書けずにおりました。いや~大変です。まっ、それはおいおい記事にしていくとして、今回は「オンライン授業の問題点・悩み」についてのお話です。

昨年の4月ごろから徐々に広まり出したオンライン授業も今では当たり前のものとなり、「いや~、画面共有は楽でいいよね」なんて声も聞こえて来るようになりました。たしかに楽ではある。。。

しかし、一方でオンライン授業特有の問題・悩みも当然、あるわけです。そこで今回は、実際に教えていて感じるオンライン授業での問題点についてご紹介しようと思います。

特に教師間でよく話題になるものから個人的に感じるものまで、その問題の大きさを分かりやすくランキング形式でご紹介します。現状での取り組みも併せて解説します!

オンライン授業における問題・悩みはすぐに解決できるものではないかもしれませんが、何かしら気づきになれば幸いです!

オンライン授業の前提条件

オンライン授業の問題点をご紹介する前に、前提条件を確認します。ウチの学校では、以下の様な形でオンライン授業を実施しています。

✔ ZOOM(画面共有)を利用

✔ 授業展開は基本パワーポイント

✔ 教師は「学校」でオンライン授業を提供している

ZOOMはほぼどこの学校もそうでしょうが、画面共有かどうかは別れるところ。個人的には画面共有ではなく、教師とWBを映すシンプルな形の方が好みですけど。。。

オンライン授業をどこでしているか、中には一時期、自宅で実施させている学校もありました。学校によって取り組みは様々ですが、やはり出勤した上で実施という所が多いのではないでしょうか。

そして日々オンライン授業で感じている悩みも大体似通ってくるという。。。

それでは、ランキング行ってみましょう。

第5位 学生が「顔出し」してくれない問題

第5位は、学生が「顔出し」をなかなかしてくれない問題です。

オンライン授業で

顔出しとは、参加はしていても画面上のアイコンが、名前のままだったり、アニメのキャラだったりして本人自身ではないことです。

20名のクラスだとして、顔出しするのはその半分か3分の1程度。中には2~3人しか出してくれない場合もあります。また、カメラに映ってはいるのですが、顔ではなく家の天井だったりすることもよくあります。

「顔出し」をしてもらうため、教師は色々手を尽くします。最初はやさしく、徐々に厳しく、それでも効かなければ「出席扱い」にはしないぞ、と脅してみたり。そして、ようやく顔出ししたかと思っても効果があるのは最初だけ。気づけば数名だけになっていたということがほとんどです。

この「顔出し」しないことの問題点は、そのものずばり学生の表情が見えないことです。表情が分からないため、今何をしているのかこちらが問いかけない限り分かりません。授業をちゃんと参加しているのか顔出しをしてくれていれば、目視で確認できるのですが。。。

顔出しをしない理由は、「恥ずかしい」、「面倒臭い」、など様々。最初は、顔出ししてくれるのですが、そのうち顔を出さない学生を見て「なんで?」となり、1人消え2人消えしていきます。中には出席を取った直後に消す不届き者もいます。

口やかましく注意しても効果はあまり見られませんし、何より時間がもったいないので、ある程度のところで見切ることも大事だと思っています。大事なのは参加(声を出す)してくれることなので。

第4位 授業準備がより大変になった問題

続いて第4位は授業準備がより大変になった問題です。

オンライン授業になったことで、授業準備が大変になったとはよく聞く話です。オンライン授業で、学生が見ているのは「画面共有されたパワーポイントのスライドやPDFです。」当たり前ですが、それだけです。対面授業で言えば、ホワイトボードだけを見続けているようなものです。教師などそれ以外の視覚情報はありません。しかも視聴はたいていiPhoneなどのモバイル。小さな画面です。

これが何を意味するか。ある程度経験のある教師なら、1枚のスライド(例えば絵など)でおおよその時間を予測し、実際の授業でも学生とのやり取りである程度、時間の調整をすることができます。

しかし。

新人や若手の教師の場合はさあ大変。ホワイトボード(オンライン画面)以外に視覚情報として与えられないため、その間(時間余り)を恐れて大量のスライドを用意しようとしたり、1枚のスライドを徹底して作り込んだりします。結果、作業時間が通常よりもかかってしまうことが多いのです。もっともベテランであってもやはりスライドの枚数は多くなる傾向にあります。

スライド枚数で言えば、通常の対面授業では平均すると30枚前後、それがプラス10~20枚は増えるといった感じです。中にはスライド枚数100枚を超す強者もいます。(新人)

ちなみに、この間作った「みんなの日本語の33課」命令形のA-3、4、5の3文型の導入で、スライド数は31枚でした。命令形の復習込みで31枚なら、普通?かな。。。

第3位 学生からの応答や返事が少ない・減った問題

続いて第3位は学生からの応答や返事が少ない・減った問題です。

個人的にはこれが一番こたえます。。。聞いても答えが返ってこない。もちろん指名すれば返って来ます。でも、クラス全体に問いかけたとき、ないんです、反応が。対面のときにはあれだけ活発に発言していたのに、ウケていたのに、です。仮に返って来たとしても、たいていの場合、同じ学生だったりします。全体に問いかけて反応がない。これはクラスによる、それは間違いありません。一方で対面と比べて反応が薄くなる、または減ってしまう、それも事実なわけです。

この理由としては、大きく2つあると思っています。

  1. ズーム(オンライン)というシステム・形式上の問題(そもそも論)
  2. 学生の性質の問題

1つ目、そもそもオンラインというシステム上の問題です。

まあ簡単に言ってしまうと、クラス単位の日本語指導には不向きだということです。日本語学校の授業は基本的に学生が15人~20人です。そして、授業ではコーラス(学生全体に教師の発話を繰り返させる練習)が基本のドリルとなります。そのドリルの中で教師は、学生がきちんと声を出しているか、発声に誤りはないかなど細かく見ています。でオンラインだとこれができない。

一応、対面のとき同様全体に「では、言ってください」と振ります。

すると数名か、またはお決まりの1人からコーラスとして返ってきます。これは反応がある場合です。ないときは、全く返って来ません。

(ミュートにして、コーラスしている可能性はなくはないですが、まあ…ないですね)

学生にしてみたら指名されたわけでもないのに、声に出して、しかもそれが自分だけだったとしたら「恥ずかしい」ということでしょう。(もっとも全員が声出ししたら、音割れしてそれこそ何言ってるか分かんない状態ですが)

また1対多数という状況で、部屋で自分1人が画面に向かって声を出すということに抵抗(慣れない)があるのかもしれません。

理由の2つ目は、学生の性質として「受け身」で「大人しい」学生が多い(増えた)ということがあるのかもしれません。基本的に授業は受けるもの・聞くものという意識があるにではないのかと。

しかし、一方で少数ですが能動的に学びたい!学費を払っているんだから、授業に参加しないなんてありえない!という学生もいます。非常に良いことなのですが、こういった学生は下手するとクレ―ムにつながりかねません。もちろん、きちんとした授業をしていれば問題ないのでご安心を。

第2位 教師の目が届かない問題

続いて第2位は教師の目が届かない問題です。

これはもうオンライン授業の宿命ともいうべき問題ですが、簡単に言えば「結局のところ、みんなちゃんと授業受けてる?ゲームしてない?」ということです。第5位の顔出しのところでも少し触れましたが、たとえ顔出しをしていたとしても、場所は自分の部屋、教室ではありません。何をしていても極端な話バレません。

要するに、オンライン授業では学生管理が非常に厳しい。とい。

学生を疑い出したら、もうキリがありません。ほんとに。なので、どこかで落としどころというかルールを設けなければいけません。個人的にもそうですし、学校なら学校としてのルールです。

よくあるのはこんな感じです。

のりまき、

では王さん、では練習Bの2番言ってください。

・・・・ガサ・・ゴソ、・・ゴソゴソ・・・・ガサ

のりまき、

あれっ、王さん、、王さん、、いませんかぁ〜いないのー。

・・ガサガサ、ガサーー‼ っせんせい、います!

とまあ、こんな感じ。ぜったい何かやってたろ!と突っ込みたくなる間。よくあります。この王さんはもちろん顔出ししていません。それでも返答があっただけマシ。また遅れて返答したことに対する言い訳として多いのは、やはり「トイレ行ってました」です。

つまり。あくまでオンライン授業、一時的なものということで割り切ることも大切だと思います。例えば、教師の指名に対し多少遅れたとしても、ちゃんと返答すればそれで良しとする。

最低限ですが。ここが落としどころかと私は思います。返答なければ欠席!(ルール化)そして、学生に通知する。←ここ大切。

とにかく、対面の教室にいたときでさえ、いたちごっこのように注意を繰り返したという経験は誰しもあるはず、それがオンラインになったわけですから。ねえ?

第1位 指導した内容が定着しにくい問題

オンライン授業の問題点。堂々の第1位は指導した内容が定着しにくい問題です。

いや~これは。クラス単位でのオンライン授業をしている日本語教師は、誰しも思うところではないでしょうか。1か月近くオンライン授業が続いて、久しぶりの対面授業そしてテスト。いやー点数取れない。オンラインでも感じていたことですが、実際のテスト結果で目にすると暗澹たる気持ちにさせられます。

何故なのか、ここまでオンライン授業の問題点として挙げて来た5位から2位の全てに理由があります。

つまり

  1. 顔出ししないことによる受け身的な参加姿勢。
  2. コミュニケーションの絶対的な不足。
  3. 教師の指導・注意が行き届かない。
  4. 現在の日本語教育的クラス授業がオンライン授業に向かない

特に4番目は、非常に重い課題だと言えると思います。

2位から5位の合わせ技、総合1位がこの「定着しない問題」と言えます。

オンライン授業の問題・まとめ

正直、個人がマンツーマンで語学を学ぶならレアジョブに代表されるオンライン英会話ツールで、すでに、実績として証明されています。

しかし、それが対クラスレッスンになったときには、どうすれば良いのか。決して教える側だけの問題ではありませんが、画面の向こうにいる学生たちにどれだけ想像力を働かせられるかが大事なのかなあ。と思ったりしたわけです。

この間も、あまりに反応のないクラスで静けさの中ミュートを突き破って聞こえて来たのは、学生のイビキだったそうです。


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